メンターインタビュー:わたあめさん

 

悩みごとやモヤモヤすること、不安に思うことをインターネットで気軽に相談ができる「TOKYOメンターカフェ」。仕事や子育てなどを経験してきた方が、都民メンター(助言者)となって多様な悩みに寄り添い、悩みを抱えて次の一歩を踏み出せずにいる女性を支援します。

今回は、都民メンターの1人である、わたあめさん(40代)に、ご自身が経験してきた悩みやメンターとしての活動を振り返っていただきました。

なぜメンターになられたのでしょうか?

「TOKYOメンターカフェ」は、SNSの広告を見て、たまたま知りました。自分の経験が誰かの役に立てればいいなと思い、そんな気持ちでメンターに応募しました。

私はもともと人の話を聞くのが好きですし、これまでも区の傾聴講座や認知症サポーターの講習を受けたことがあったので、その経験も活かせたらいいなと思いました。特に以前受講した傾聴講座はグループワークをする講座だったので、言葉の使い方一つで、自分が意図したことと違うニュアンスで相手に伝わってしまうことなどを肌で感じるなど、たくさんのことを学びましたね。

いじめ、原因不明の病気…波瀾万丈だった子供時代

わたあめさんがこれまで悩んでこられたことを教えてください。

振り返ると、なかなか波乱万丈な人生を過ごしてきました。

何不自由なく過ごしていた幼少期、関東から九州の田舎町に引越しをしました。小学校には1クラスしかなかったのですが、ひとり親家庭で育てられたり、発達障害があったり、ヤングケアラーで学校を休みがちだったり、複雑な事情を抱えた同級生が多かったのです。モノが無くなったり、嫌味を言われたり。習い事を始めただけで仲間外れにあったりいじめられたりした記憶があります。

同じころ、原因不明の病気(数年後病名が付きましたが)で数ヶ月間入院、手術をした経験もあって。同室の患者は生まれてからずっと入院している子どもたちで、それ以前は自分が世界で一番不幸だと思って過ごしていましたが、病院内の学校で過ごすうちに「私よりももっと大変な人がいるんだ!」と感じたことは大きな心の転機だったとおもいます。ですが、9歳にとってはやはりリハビリも大変でしたし、親と長期間離れたことがなかったのでとても辛かったですね。

中学も高校も九州で過ごしましたが、だんだんと出会いが増えて、世界が広がっていく感覚はありました。特に高校時代は、担任や同級生に恵まれて、とても学校生活が楽しかったです。それらを経て、マスコミの仕事がしたいと思い、専門学校に進学。民放テレビ局の番組制作の仕事に就職するタイミングで、再び関東に戻ってきました。

婚約者の死を乗り越えて感じた「人生はあっという間」

仕事はそれなりに楽しかったのですが、実は学生時代から交際していた方と婚約した直後、ある日突然彼が死んでしまうというショッキングな出来事が起きました。入籍する3ヶ月前、私は21歳。関東以外に住む彼の母から「警察から亡くなったと連絡があった」と聞かされて、警察署に直行して、冷たくなった彼と対面しました。事件性はないという判断だったものの、脳溢血(のういっけつ)なのか心臓発作なのか、別の病気なのか……詳しい理由は分からないまま、とにかく突然逝ってしまいました。

あまりに突然のことでなかなか現実を受け入れられず、精神的にも不安定になってしまいました。休職を進められましたがかえってプレッシャーに感じてしまい結局テレビ局の仕事も辞めてしまったのですが、私の友人たち、テレビ局の同僚、上司、彼の友人たちといろいろな人に支えてもらって。音楽が好きなので、ライブに行って気を紛らわせたりして、なんとか生きていました。

人生はあっという間だ――。そう思えるようになってから、語学を生かした市場調査のアルバイトや、メイド喫茶の運営、芸能事務所の事務など、興味の赴くまま仕事を再開。その間に、今の夫と出会い、結婚。子どもも授かり、息子はもう中学生になりました。「順風満帆」なのかどうかは分かりませんが、今は穏やかに過ごしています。

ます。

逃げ道や心のよりどころになれれば

ご自身の経験をメンターとしてどう生かしていきたいですか?

本当にいろいろなことがあったので、私自身、すべてをうまく乗り越えてきたとは思いません。けれど、その悩みや試練に向き合いすぎるのではなく、逃げ道や心のよりどころが複数あるといいのかなと思うのです。一旦離れたり、関係のない人たちに話を聞いてもらったりすることも、きっといい方向に向かうためには必要なこと。そう思っています。

だからこそ、この「TOKYOメンターカフェ」が誰かの逃げ道や心の拠り所の一つになれたなら素敵ですよね。

「TOKYOメンターカフェ」にはいろいろな種類の悩みが寄せられます。この相談者はどんな思いでこの文章を書いているのだろう?本当に悩んでいることはどこにあるのだろう?と、できる限り想像しながら相談を読み、私なりに答えていけることをお伝えしたいと思います。