まずは、気持ちに寄り添うことから。現役メンター3人が語る「TOKYOメンターカフェ」

「TOKYOメンターカフェ」を支えているのは、一般公募で選ばれた都民メンターの方々です。約90名のメンターは、年齢も経験も仕事も様々ですが、「悩みを抱えた人をサポートしたい」という気持ちは皆同じ。画面越しに寄せられる相談と静かに向き合い、言葉を選び、時には迷いながらも、丁寧に回答を綴っています。今回は3人の方に、やりがいや気をつけていること、印象に残った相談などについて語っていただきました。

座談会に参加したメンターの方たち

Fumiさん(50代・女性)
https://www.mentor-cafe.metro.tokyo.lg.jp/mentor?id=5448

犬先生さん(50代・女性)
https://www.mentor-cafe.metro.tokyo.lg.jp/mentor?id=5423

ふーりんさん(60代・女性)
https://www.mentor-cafe.metro.tokyo.lg.jp/mentor?id=5478

「ただ話を聞いてほしかった」

メンターになったきっかけを教えてください。

Fumiさん: 私立大学の図書館で、管理職として人と関わる仕事をしてきました。昨年、本業のかたわらで何か社会の役に立てることはないかとボランティアを探していたところ、偶然「TOKYOメンターカフェ」のメンター募集の案内を見つけたんです。締切りがその日までだったので、思い切って応募し、活動をスタートしました。

犬先生さん: フルタイムの会社員で、新卒からずっと同じ会社に勤めています。7年前に夫を突然亡くした時、誰にも相談できず、辛い思いをしました。深夜に誰かと話したくなっても、友人に電話することも出来ないし、身近な人は話を聞くプロでもない。アドバイスでかえって傷ついてしまい、「アドバイスはいらないから、ただ話を聞いて欲しかった」と感じることも何度かありました。
1年ほど前、東京都のLINEでメンター募集の案内を見つけた時、当時の気持ちを思い出し、Webであれば自分のペースでじっくり答えを考えられるし、自分がして欲しかった様な関わり方が出来るかもしれないと思い、応募しました。

ふーりんさん: 犬先生さんと少し状況が似ているのですが、定年退職の少し前に夫が急逝しました。その時、友人や義姉が本当によく話を聞いてくれて、ただ聞いてもらうだけで心の“モヤモヤ”が軽くなることに驚いたんです。人間の心理をもっと知りたいと思い、定年後に放送大学で心理学を学びました。ちょうど講座が終わる頃、都のLINEでメンター募集を知り、「学んだことを誰かの役に立てたい」と応募しました。週2回ほどの頻度でサイトを訪れ、「私にも答えられるのでは」と感じた相談にお答えしています。

「来てくれてありがとう」感謝の気持ちで相談と向き合う

相談者の悩みに回答するとき、気をつけていることはありますか?

Fumiさん:自分が(精神的に)“ちゃんと整っている”と思う時にだけ、相談にお答えするようにしています。精神的にちょっと疲れていたり、ストレスが溜まったりしていると、不必要なことを書いてしまう恐れがあるためです。相談を読む時は、その方が目の前にいて、まさに今お話を聞いているつもりで向き合います。相談者さんの中には、身近な人や専門機関に相談して傷つき、打ちのめされた方もいるはず。それでも勇気を出してここに辿り着いてくれたんだと思うと、「来てくれてありがとう」という気持ちでいっぱいになります。

ふーりんさん:私も、そういう相談を見るたびに、こちらのほうが勇気をもらっています。「相談してくれてありがとう。その言葉は、ちゃんと届いています。あなたの気持ちを、私たちが聞きますよ」という思いを、まずは伝えることを意識しています。また、相談文に全てが書かれているわけではないので、何度も読み返し、“言葉の奥に隠れているかもしれない気持ち”にも思いをはせるようにしています。
文章で相談に答えられるメリットは、一度書いてから、少し距離を置いて推敲できること。ただ、相手の表情が見えない分、「ここまで言って大丈夫だろうか」と迷うことも多いですね。書いては読み直し、時には時間を置いて、「本当に伝えたいことはこれだろうか」と考えながら、投稿するようにしています。

犬先生さん:時間がある時に回答するようにしていて、頻度は週に0〜4本ほどと、まちまちです。回答の際は、自分がして欲しかったように“寄り添う”ことを大切にしています。ただ、人によってはズバッと答えが欲しい場合もあって、その見極めはいつも悩ましいですね。具体的なアドバイスは他のメンターさんにお任せし、自分は気持ちのケアに集中しよう、という時もあります。

誰かに受け止められたという実感が、支えになる

これまで印象に残っている相談と、その理由を教えてください。

Fumiさん:特定の1件というより、辛い気持ちを正直に書いてくれた相談が心に残っています。状況説明は詳しくても、「だからこんなふうに苦しい」という相談者さんの感情が省かれてしまっているご相談も少なくないんです。自分の気持ちを言葉にして前面に出してくれている相談には、こちらも自然と胸を打たれます。

犬先生さん:ご家族の問題で疲れ切っているという相談が印象に残っています。私は子どもがいないものの、相談者さんとの世代も近く、大変さは想像できたので、寄り添う形で返信しました。すると「寄り添ってもらえてありがたかった」とメッセージをいただいて。解決というよりも、誰かに受け止めてもらえたこと自体が、その方の支えになったのかな、と感じました。

ふーりんさん:返信をゴールにしているわけではありませんが、相談者さんから返信が来ると素直にうれしいものですよね。
私が印象に残っているのは、メンタルの問題を抱えながらお母様の介護をされている方からのご相談。正直、明確な答えは出せない状況でしたが、「限界まで本当によく頑張っています」と伝え、小さなことでいいので、出来ることを一つずつ探していきましょうとお返事しました。すると後日、「ここに書いて返事をもらえたことで、つながれたと感じました」と返信が届いたんです。具体的な解決法を出すだけがメンターの役目ではないんだな、と実感しました。

「こんなことで」と思わず、相談してみて

これから目指すメンター像があれば教えてください。

ふーりんさん:相談者さんを包み込むようなメンターでありたいですね。相談に来られる方は、皆さん本当は自分で答えを持っていると思うんです。ただ気持ちが弱っていたり、他のことに気を取られていたりして、それが見えづらくなっているだけ。私たちは、絡まっている部分をほぐして、「自分はこうすれば良いんだ」と気づくお手伝いが出来たらと願っています。

犬先生さん:寄り添うメンターでいたいと思っています。自分一人では上手く答えきれなくても、他のメンターさんの回答と合わせることで、支えられる部分が厚くなることもあります。そうした関わりを通して、自分も人間的に成長していきたいですね。「TOKYOメンターカフェ」には、相談者さんや他のメンターさんなど、様々な立場や年齢の方が集まっています。皆さんと接することで、私自身、貴重な学びの機会をいただいていると感じています。

Fumiさん:お二人とも、“包み込む”“寄り添う”という姿勢が素晴らしいですね。私は傾聴するメンターでありたいと思っています。気づきを促す言葉は、時に相手の準備が出来ていないと負担になることもあります。 “今、これをこの人に伝えていいものか”と常に悩みながら、慎重に言葉を選んでいます。
本来、多くの悩みは、相談者さんが日常に戻って、ご自身で向き合っていくもの。私たちに出来るのは、そのための後押しだけで、その先はその人自身の選択と行動の領域です。その一線を大切にしながら、出来るところまでは精一杯、200%全力で関わるようにしています。

あなたを一人にしない。どんな小さな悩みでも、打ち明けてほしい

最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

ふーりんさん:「TOKYOメンターカフェ」は、とても素敵なサイトだと思っています。思ったことをそのまま投稿してもらえれば、それだけで少し気持ちがすっきりする、そんな場所ではないでしょうか。「こんな悩みでいいのかな」と悩む必要はまったくありません。構えず、気軽に訪れて欲しいと思います。

犬先生さん: 悩み相談サイトは色々ありますが、都が運営するTOKYOメンターカフェ」は安心して利用できる場所です。メンターは、決して皆さんを否定したり傷つけたりしません。相談はきれいにまとめなくて大丈夫。まずは思いつくままに書いてみてください。やりとりを重ねるうちに、少しずつ頭の中が整理され、別の考え方や選択肢が見えてくることもあります。私たちメンターを、そのための“整理係”として使っていただけたら嬉しいです。

Fumiさん:人の悩みは本当に様々。どんな小さな悩みでも、その人にとっては大事なことです。「こんなことで」と思わず、打ち明けてみてください。メンターは皆さんを一人にしません。ふーりんさん、犬先生さん、そして私も含め、皆さんを受け入れるメンターがここにはたくさんいます。孤独を感じている人にこそ、ぜひ訪れて欲しいですね。